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【バード・サンクチュアリの思想: 3.庭に小鳥を呼ぶ (2/5)】

 『野鳥を呼ぶ庭づくり』で伝えられている重要なテーマの一つに、"本来の生態系を損ねる外来種を導入してはいけない"ということがある。野鳥たちを呼ぶ上で、彼らだけでなく、彼らを取り巻く生きものたちのつながりを視野に入れると、より奥行きのある庭となるし、これは時には必要なことだ。野鳥を取り巻く生態系の中では、本来すべてが関係し合って、そして調和がとれているからだ。さらに、その庭のある土地本来の生態系と合うような生きものを育んでいけば、その庭は庭の外にある生態系とつながって、より豊かになり、かつて生息していた生きものたちを呼び戻す力となっていく。しかし、本来の生態系にない生物種を導入してしまうと、それとは反対に、元々棲んでいた生きものたちを追いやってしまうことになりかねない。

 日本は欧米に比べとても自然に恵まれた国です。山が国土の面積の七割を占め、山を背後にいただいた暮らしをしていたせいもあって、日本人は自然を征服するのではなく、畏怖し共存して生きてきました。一方、主な西欧文明は自然(森林)を一度、根こそぎにしたため、今では身近な生き物はほとんどいなくなってしまいました。欧米にナショナルトラストや野鳥保護団体など自然保護運動が古くから根強くあるのは、そうした反省からなのです。現在にいたってもその考えは継承されていて、ワイルドライフガーデンを身近につくり、生き物を招待する庭づくりの運動が主体になっていて、頼もしいかぎりではあります。しかしながら、緯度の関係もあるのでしょうが、生き物の種類数では、日本よりはるかに少ないのが実情です。
 日本の場合は、根こそぎ自然を追いやったことがありません。農業は自然との共存を極力図ってきましたし、都市は別でしょうが、ちょっと郊外に出れば雑木林や社寺林、鎮守の森など、人が住む環境にも古くからの自然環境がまだまだ残っています。
 だから、そうした環境さえつくってやれば、日本では生き物たちはどこからか戻ってくるのです。そういう意味で、日本は欧米とちがい自然に関して恵まれた環境にあるのです。
 外来種を「きれいだから」「育てやすいから」「楽しいから」という理由で、入れてはいけないのは、彼らが入り込むと里山の生き物たちが戻る場所がなくなってしまうからなのです。
 里山の生き物たちが「戻ってきやすい」環境を、身近の庭につくります。それがひいては、本来あるべき自然環境を次世代に残すことにもなるからです。
 
                               (『野鳥を呼ぶ庭づくり』 p.10-11)

自分の庭に息づく生きものたちをどう守っていくかが、日本の里山の生きものたちが帰ってくるための鍵となる。

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